ホウ素のマスキングに基づいたオリゴアレーン類の反復カップリング合成
鈴木-宮浦カップリングにおけるボロニル基(B(OH)SUB{2};)の保護に注目し、オリゴマーの構造を自在に構築できる繰り返しカップリングシステムの確立に取り組んでいます。このシステムでは、一時的にB(OH)SUB{2};基をマスク(Mで示している)したハロアリールボロン酸をカップリングモジュールとして用います。このモジュールを反応させたのち脱保護を行うことで、次のカップリングを行うことができます。
さまざまな保護基を検討したところ、ボロニル基の保護基には1,8-ジアミノナフタレンが優れていることが明らかになりました。[Ref. 1] この保護基は有機ボロン酸と1,8-ジアミノナフタレンの縮合により高収率かつ簡便に導入でき、また酸水溶液で処理することにより容易に脱保護を行うことができます。
保護したハロアリールボロン酸は、鈴木-宮浦カップリング条件下有機ボロン酸と反応し、クロスカップリング生成物を収率よく与えます。マスクしたハロアリールボロン酸B’ とアリールボロン酸Aのカップリングから始めて、脱保護とカップリングを4回繰り返すことで、キンクアリールA-B-B-C-C’ を選択的に合成することができました。
参考文献
- Ref. 1
- Boron-Masking Strategy for the Selective Synthesis of Oligoarenes via Iterative Suzuki-Miyaura Coupling H. Noguchi, K. Hojo, M. Suginome, J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 758-759, 10.1021/ja067975p
- Differentially Protected Benzenediboronic Acids: Divalent Cross-Coupling Modules for the Efficient Synthesis of Boron-Substituted Oligoarenes H. Noguchi, T. Shioda, C.-M. Chou, M. Suginome, Org. Lett. 2008, 10, 377-380, 10.1021/ol702420x
謝辞
本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A), 19205007)により行われています。Link
Last-modified: 2009-01-21 (水) 18:02:03 (5574d)