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ヘテロ元素を導入した大環状分子の合成と機能開拓Heteroatom-Containing Macrocycles

 ピラー[n]アレーンをはじめとする大環状分子の多くは、炭素・水素・酸素の三種類の元素によって構成されています。我々はさらなる機能性の獲得を目指し、環状骨格にヘテロ元素を導入した大環状分子の創出に取り組んでいます。ヘテロ元素の導入により、構造や光学特性の変化に加え、各元素の性質に由来する分子認識能や分子集合体の構造制御など、様々な物性・機能の発現が期待できます。高分子材料への展開も進めており、ヘテロ元素の特性を活かした材料合成に取り組んでいます。

元素別の成果

窒素(N)
架橋部位に窒素原子を導入したピラー[6]アレーンを合成し、固体状態で発光を示すことを明らかにしました。ヘテロ元素の導入により、大環状分子の発光特性を制御できることを示した成果です。Chem. Asian J. 2024
七員環構造を有するモノマーから、拡張された空孔をもつ大環状アレーンを合成しました。環構造の設計により、従来とは異なる空間サイズとホスト–ゲスト特性をもつ大環状分子を構築できることを示しました。Chem. Eur. J. 2025
ケイ素(Si)
架橋部位にケイ素を導入したシラピラー[n]アレーンを合成し、電子共役の拡張と多様なコンホメーションの誘起に成功しました。ケイ素架橋により、炭素架橋では見られない大環状分子の電子状態と立体構造を実現できることを示した成果です。J. Am. Chem. Soc. 2024
硫黄(S)
硫黄原子を含む新しい大環状分子sulfur[n]areneを合成し、硫黄–硫黄相互作用によって固体状態で二量体構造を形成することを見出しました。硫黄原子の特性を利用して、大環状分子の集合構造を制御できることを示しました。J. Am. Chem. Soc. 2025
窒素原子を導入したsulfur[n]arene誘導体を合成し、アルキル鎖の包接と複数のS···S相互作用により、固体中および溶液中で二重貫通型二量体を形成することを明らかにしました。ヘテロ元素と分子包接を組み合わせることで、溶液中でも集合構造を制御できることを示した成果です。Org. Lett. 2026
フッ素(F)
ベンジル基およびペンタフルオロベンジル基を有するピラー[6]アレーンを混合・加熱することで、分子性ガラスが形成されることを見出しました。フッ素化芳香環との相互作用を利用することで、三次元大環状分子のガラス形成を制御できることを示しました。Chem. Commun. 2026
フッ素原子を含むリンカーで大環状分子骨格を連結することで、分離材料として有効な高分子材料を構築できることを明らかにしました。ACS Appl. Mater. Interfaces 2024