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面性キラリティー

図1

 Pillar[n]areneはメトキシ基の位置により、面不斉が生じる(図1)。通常はベンゼンユニットの回転によりラセミ化が進行するが、Pillar[5]areneに嵩高いシクロヘキシル基を全置換すると、その嵩高さからベンゼン環の回転が抑制されpS・pR体のエナンチオマーを単離できた。2反応性Pillar[5]areneから得られるπ共役骨格を導入したPillar[5]areneにおいてもユニットの回転が抑制され、エナンチオマーを単離できた。また2反応性Pillar[5]areneを利用し、異なるリング構造を1つのPillar[5]areneユニットに導入した、2個の環を有する分子を合成した(図2)。そのリングがPillar[5]arene空孔内に包接された構造が安定であるため、ユニットの回転が抑制され、エナンチオマーを分離することができた。競争ゲストの添加より、空孔内のリングがPillar[5]arene空孔外に押し出され、その面不斉を動的に反転させることができた。


図2