長寿命リン光発光高分子材料Long-Lived Phosphorescent Polymer Materials
リン光物質は外部からの光エネルギーを蓄え、暗闇でも光り続けることから、時計の文字盤など様々なものに利用されています。しかし、現在利用されているリン光物質は、希少金属を含むため高価という問題があります。我々は、安価な市販高分子、ポリスチレンスルホン酸(PSS)を乾燥し水を除去すると、室温・大気下で1秒を超える長寿命リン光を示すことを見出しました(Adv. Funct. Mater. 2018)。大量合成が可能で、これまでの高価なリン光物質とは一線を画す物質であり、高分子であることから、フィルム形成能など材料としての魅力を秘めています。異種材料とのハイブリッド化、ブロックポリマーなど多様な設計が可能で、柔軟性・剛直性を有する新しいリン光材料の創製を目指して研究を進めています。 最近では、PSSをシリカネットワーク中に閉じ込めることで、PSSの凝集サイズを制限し、発光色を黄色から青色へ制御できることを示しました(Angew. Chem. Int. Ed. 2026)。ネットワーク中のナノ空間に閉じ込めることにより、発光量子収率とりん光寿命の向上も実現できました。

乾燥固体状態のポリスチレンスルホン酸(PSS)が示す長寿命室温りん光と、発光寿命を利用したパターン形成。

PSS/silicaハイブリッド化による凝集サイズの制御と発光色のチューニング。