電解合成 †
これまで当研究室では低温電解酸化によって有機活性種を発生・蓄積する方法論を開発してきた。
今回はその内、ジスルフィドを電解酸化して発生・蓄積させた硫黄カチオンを用いて迅速に炭素カチオンを発生させる「インダイレクトカチオンプール法」の反応操作を実際の写真と共に紹介したい。
なお本方法論は J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7710.に掲載されている。
| 今から電解します。H型のセルを用います。 |
| これが電極です。陽極は炭素、陰極は白金板です。 |
| 陽極が外れないようにタコ糸で固定します。 |
| ヒートガンを使ってドライアップします。カチオンプールは水に弱いので必須です。 |
| セルの固定が完了しました。 |
| 電解用の溶液を入れます。 |
| 陰極がわ。 |
| 陽極がわ。 |
| 入れ終わりました。 |
| 今からジスルフィドを入れます。 |
| 電子天秤で正確に秤量します。 |
| 陰極がわにTfOHを投入します。 |
| すぐに実験ノートに記録します。化学者として当然の行為です。 |
| しこみが完了しました。 |
| 電解装置とバスを用意します。 |
| 極低温を作るためにドライアイスを砕きます。 |
| 私が砕きました。 |
| ドライアイスをバスに入れてヘキサンを注ぎ、-78℃で電解します。 |
| 準備が完了しました。(撮影協力:清水郁雄氏) |
| 電気を流します。 |
| 電解している間にシリンジを用意します。傘袋で包んであるので外から空気が入りません。 |
| シリンジをドライアイスで冷やします。 |
| 電解が終わりました。速やかにシリンジで吸い取ります。 |
| すかさずナスフラスコに移します。このナスフラスコはあらかじめ冷却してあります。 |
| 入れ終わりました。うっすらと黄色いです。 |
| 5分間の撹拌の後、求核剤を投入します。 |
| 黄色が消えたのが確認できます。 |
| 反応後の溶液がこちらです。 |
| ロータリーエバポレーターで溶媒を除きます。 |
| その間に電解装置を片付けます。 |
| ショートカラムにシリカゲルを入れます。 |
| ショートカラムで塩を取り除きます。 |
| ガスクロで粗生成物の成分を調べます。 |
| 自動的にガスクロを打ってくれます。ハイテクです。 |
| NMRでも成分を調べます。 |
| NMRチャートを見る限り目的生成物が出来ているようです。 |
| シリカゲルカラムを使って生成物を単離します。 |
| TLCで分離できているか確認します。 |
| TLCのスポットを紫外線で確認しています。 |
| 発色試薬でも確認します。 |
| 回収します。 |
| もう1度NMRを取って解析します。 |
| こ、これは・・・! |
| 目的化合物を得ることに成功しました。 |
| このような成功の積み重ねによって論文が完成します。 |