RESEARCH   化学を用いた生命現象の理解と制御

研究方針

私たちは、生物から生命システムを謙虚に学び、分子認識に基づいて、生体機能分子および生命システムを改変あるいは創出することにより、生きた細胞あるいは生物個体における様々な生命現象を自分たちが望むように操作することを目指した研究を行っています。
そのため、工学的な発想で、すなわち、こういうことがしたいと思った時、その技術がなければ、自分たちで新たに“作ったらエエやん!“の精神で、

  1. 新しく
  2. おもしろく、かつ
  3. 実際に使えるバイオテクノロジー

の開発を行っています。
実際、従来の医学的、薬学的、あるいは農学的なアプローチでは為し得なかった生命現象を操作することに成功しています。さらに、新しい工学的な手法を開拓し、人々の役に立つバイオテクノロジーを提供することを目指しています。

研究概要

現在は、細胞の核のなかにある、膨大な数の塩基対(ヒトで約30億個)が連なったゲノム上のある特定のDNA配列に結合できる“人工DNA結合タンパク質“を用いた研究を行っています。この人工DNA結合タンパク質は我々のグループで開発されたもので、生きた細胞や生物個体中のゲノム上の望みのDNA配列に結合するように自在にデザインできます。ご存知のように、ゲノムは生命現象を司る遺伝情報の源であり、様々な生命現象がこの遺伝情報の読み取りにより制御されています。そのため、我々の人工DNA結合タンパク質を用いることにより、標的の細胞あるいは生物個体中での、ある特定の遺伝情報の読み取りを細胞あるいは生物個体とは“独立に、しかも自在に“操作することが可能なのです!現在、以下のようなことを目指した研究を行っています。

  1. 特定の遺伝情報の読み取りを人工DNA結合タンパク質で阻害する。
    ウイルスに感染したり、ガンになるのを防ぐ(バイオ医療)。
    病気にならない農作物を作る(食糧問題の解決)。
  2. 人工DNA結合タンパク質に遺伝情報の読み取りを促進する部品をつなげた“人工転写因子“を創出し、これを用いて遺伝情報をより効率よく読み取らせたり、あるいは遺伝情報の読まれ方そのものを変える。
    あるタンパク質が作られないで困っている患者さんを助ける。
    細胞を望みの細胞に分化させる(バイオ・再生医療)。
  3. 人工DNA結合タンパク質にDNAを切断する酵素をつなげた“人工制限酵素“を創出し、遺伝情報そのものを変える。
    遺伝病で苦しむ患者さんを助ける(遺伝子治療)。
    新しい生物を作る(合成生物)。
研究概要.png

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