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杉野目研究室では「''有機分子の設計・創製・機能''」にかかわる様々な研究テーマを展開しています。各々の研究テーマは''有機合成化学'',''不斉合成'',''有機金属化学'',''触媒化学'',''高分子科学'',''機能材料科学''など,有機化学が関連する諸分野のうちでも特に重要な分野における新発見や新原理を追求するものですが,これらの“有機的”相互作用により,これまでにない複合的な学術分野を拓こうと考えています。''世界の物質科学をリードする新反応,新物質,新原理,新概念や新現象の開拓,発見''を目指して研究を行っています。 
 
''「カルボノイド元素の有機化学」''
~現在特に興味を持って進めている研究は,“カルボノイド元素”を含有した有機化合物群の合成法開拓と機能開拓です。“カルボノイド元素”とは定まった学術用語ではありませんが,“炭素のような元素”という意味で,''メタロイド元素のうち特に炭素との親和性が高く,安定な共有結合を形成する「ホウ素」や「ケイ素」''のことを示す造語です。これらの元素を含んだ有機化合物,すなわち有機ホウ素化合物と有機ケイ素化合物は,他の有機金属化合物と比べて極めて安定で,次世代の材料科学や医薬科学における有望な物質群として注目されています。

現在,生体中や日常生活において何らかの機能を持って使われている有機化合物のほとんどが,炭素と水素に加えて,窒素,酸素,フッ素,リン,硫黄,塩素,臭素,ヨウ素などの10種類に満たない元素の組み合わせによって構成されています。それらの元素はすべて周期表で炭素より右側に位置する,いわゆる電気陰性な元素です。この''有機化合物ワールドに,電気「陽性」な元素を二つ加える''ことで,どれだけの機能改良,さらには新機能が具現されるか,想像することもできません。まずはこれらカルボノイド有機化合物群を精密かつ効率的に創りだす方法を開発しているところです。  

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''「巨大分子の自在合成−らせん高分子の右巻きと左巻き」''
~わたしたちのもう一つの興味は,巨大分子の機能と自在合成です。小分子を精密に合成することを目的の一つとする有機化学と,巨大分子を扱うことに特化した高分子化学は密接に関わりながらも,それぞれ別々に発展を遂げてきました。しかしながら,近年の有機合成化学の進歩は巨大分子の合成をも視野に入れつつあります。また,高分子化学においても機能の追求には,''従来にない精密さで高分子を作る''ことも必要になりつつあります。わたしたちは,有機合成化学の新手法を用いて,巨大分子を精密に合成し,機能開拓につなげようとする研究を行っています。

現在特に興味を持っているのが,''らせん構造を有する高分子の精密合成,機能開拓''です。らせん構造は人工物,生物から分子まで広く見出される,最も単純でありながら最も組織化された構造様式の一つです。らせん構造には右巻きと左巻きが存在します。人工の構造物でこのうちどちらかを作り上げるのは簡単なことですが,ナノメートル(10-9メートル)スケールの「分子」でこれを作り分けるのは簡単なことではありません。私たちは,「分子触媒」の助けによって,らせんの左右を完全に制御して,高分子を精密合成する手法の開発に成功しました。これらのらせん高分子は完全に片方巻きらせん構造を有するだけでなく,100℃以上に加熱しても変成することなく安定で,しかもらせんの周囲に様々な機能性部位を自由に取付けることのできる,他にはない特徴を有しています。''地球上でこのポリマーだけが併せ持つこれらの特徴を生かした機能開拓''を行っています。

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現在進めている主な研究プロジェクトは以下の通りです。  

+[[触媒的ホウ素化: カルボホウ素化およびシリルホウ素化>触媒的ホウ素化]]
+[[触媒的シリル化:ビスシリル化およびシリルホウ素化>触媒的シリル化]]
+[[ホウ素-およびケイ素-連結環化反応>B-およびSi-連結環化反応]]
+[[触媒的炭素-炭素結合形成反応>触媒的炭素-炭素結合形成反応]]
+[[触媒的不斉合成]]
+[[立体選択的合成]]
+[[「ホウ素の保護」に基づいた反復クロスカップリング合成>ホウ素マスキング法]]
+[[アミノ化反応のための新しいイミニウムイオン発生剤>新しいイミニウムイオン発生剤]]
+[[一方向巻きらせんポリマーの合成と応用開発>一方向巻きらせんポリマー]]
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