研究内容紹介

カルシウムイオン(Ca2+)はセカンドメッセンジャーとして様々な生理応答に関与する。細胞外Ca2+濃度が1~2 mMであるのに対して、定常状態の細胞内ではCa2+濃度は数十 nMと非常に低く保たれている。細胞に様々な刺激が加わると、細胞内Ca2+濃度は数百 nM程度に増加し、これが引き金となって筋収縮、細胞分化、分泌、増殖、細胞死、神経伝達物質放出、シナプス可塑性、遺伝子発現など様々な生命応答が引き起こされる。細胞内Ca2+は、主に細胞外からの流入と細胞内Ca2+ストアである小胞体からの放出との2つの経路より供給される。これらCa2+流入を担うタンパク質分子がCa2+チャネルである(図1)。当研究室では、Ca2+チャネルの果たす多面的役割を理解するために、電位依存性Ca2+チャネルTransient Receptor Potential(TRP)チャネルを中心とした研究を行っている。

図1 Ca<sup>2+</sup>流入および放出を担うCa<sup>2+</sup>チャネル
図1 Ca2+流入および放出を担うCa2+チャネル