Ca2+シグナルの時空間パターン決定に重要である、形質膜-小胞体間の機能的相互作用の解明を目的に、TRPC1欠損B細胞株を作製した。TRPC1欠損細胞においては、B細胞受容体刺激ににより惹起されるストア依存性Ca2+流入だけでなく、小胞体からのIP3受容体を介したCa2+放出も減弱していた。また、Ca2+-oscillation, その下流で起きるはずの転写因子NF-ATの活性も同様に抑制されていた。このことから、TRPC1はストア依存性Ca2+流入を担うチャネルの一部を形成するだけではなく、IP3受容体の活性を制御し、さらには小胞体-形質膜のカップリングを増進する役割を担っているものと考えられる。
Phospholipae DのPH domainの結合部位に発色団を結合させ、IP3選択的な蛍光プローブを創製した。
活性酸素種により活性化されるチャネルが存在し、急激なカルシウムイオン(Ca2+)上昇を介した細胞死が引き起こされる。我々はTRPM2チャネルが細胞内酸化還元状態の変化を感知し活性化することを発見した。TRPM2のC末端に存在するNudixモチーフが、酸化ストレスに伴う細胞内β-NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の濃度上昇を認識し活性化をもたらすこと、さらにTRPM2は、神経細胞などにおける酸化ストレスによる細胞死を誘導する分子であることをそれぞれ明らかにした。